『北海道主要樹木図譜』の英文名は「Icones of the essential forest trees of Hokkaido」となっておりますが、ネットで海外の状況を調べていたところ、オランダ・アムステルダムにある古い博物図鑑などを専門とする古書店Dieter Schierenberg BVが製作した稀覯本販売カタログCatarogue 81に製本された『北海道主要樹木図譜』がリスティングされているのを見つけました。
価格は3,600ユーロ。
説明文では3巻構成となっており、「All volumes in original blue cloth with gilt lettering (European and Japanese), contained in the original brown cardboard slipcase, also with Japanese and European lettering.」と記されています。
日本でもたまに目にする3分冊製本(表紙がブルークロス地貼りで和文・英文の金文字印字)とよく似ているようですが、この商品が「元版製本」なのか「再版製本」なのか、判別できません。
すぐに古書店へ問い合わせましたが、残念ながらすでに売却済みとのことでした。
しかし、大正時代に日本で製作された樹木図鑑が巡り巡ってオランダで売られているという事実に、『北海道主要樹木図譜』の国際的な評価の高さをみる思いがし、胸が高鳴ったことを覚えています。
もっとも、『書簡集からみた宮部金吾』(北大出版会)にもあるように、ハーバード大学隠花植物研究所、ハーバード大学グレイ植物標本館、ハーバード大学植物標本館(マサチューセッツ)、ブルックリン植物園(ニューヨーク)、アイルランド王立科学大学、ジョンズホプキンズ大学植物園(ボルチモア)、国立トムスク大学植物園(シベリア)、ダブリン王立植物園(アイルランド)、ユトレヒト大学(オランダ)など世界中の主要な関係機関へ道庁が送り届けていた事実からすれば、ヨーロッパの古書店に在庫があったとしても不思議ではないのかも知れません。