大正9年(1920年)に刊行した『北海道主要樹木図譜』製作チームのうちの二人、工藤祐舜と須崎忠助が、この大事業と並行して大正11年(1922年)に世に問うたのが『北海道薬用植物図彙』(川流堂小林又七発行)。
前者が主として東日本に生育する樹木に関する研究解説であるのに対して、後者は野生の薬用となる植物に関するもので、3枚の多色刷り石版画とモノクロ線画による写生画97枚が添えられ、全100種の薬草を収録しています。
おそらくは前者のフィールドワーク時に同時並行的に採集して編まれたものと推測されます。
画工須崎忠助の書いた文章は『北海道主要樹木図譜』には見当たりませんが、この『北海道薬用植物図彙』では工藤祐舜とともにめずらしく序文をしたためており、公務のかたわら余暇を利用して絵を描くことを無二の快事としていた、とそのこころうちを披露しています。
昭和63年(1988年)には北海道大学図書刊行会からその復刻版が出版されています。